叶同館阯之碑
キョウドウカンアトノヒ
■碑文
史蹟
叶同館之阯
愚郊
皇紀二千六百年記念
■解説
1940年(昭和15年、皇紀2600年)、真宗大谷派函館別院(東本願寺)によって建立された碑で、自然石に碑文が刻まれている。
叶同館は、1871年(明治4年)8月、函館の大工町にあった英人フレタの住宅を開拓使が購入して、迎賓集会の目的に使用した建物である。館名は開拓判官杉浦誠によるもので、明治天皇に随行た太政大臣三条実美が「協同館」と扁額を書いてから、協同館と書くようになった。
1876年(明治9年)7月17日、明治天皇は、叶同館を訪れ、アイヌの男女56名の舞踊を見学して、男には酒、女には針糸を下賜された。杉浦誠から開拓の状況や管内施政の概要説明を受けて、岩倉右大臣・木戸内閣顧問・徳大寺宮内郷・東久世侍従長等とともに食事をとったのち、午後7時40分行在所へ戻った。
この建物は、「協同館」の扁額を残して1879年(明治12年)の大火で全焼したが、1880年(明治13年)、開拓長官黒田清隆が寄贈した木材で、函館公園内に新築され、翌1881年(明治14年)には、明治天皇の再度の巡幸にあたり、北白川宮能久親王殿下が少休憩をとっている。
その後、この建物は私立函館図書館(後、市立となる)として使用されたが、1934年(昭和9年)の大火で消失した。現在、「協同館」の扁額だけが函館市中央図書館に残されている。
■参考文献
「函館市史資料集」第26集・第27集(函館市史編纂委員会)