オンコの石仏
オンコノセキブツ
発見場所:瀬棚郡今金町字光台
由 来:昭和51(1976)年8月1日、今金町奥種川の(故)岡野英雄氏が農業のかたわら木彫りでも楽しもうと、裏山にあったイチイ(通称オンコ)の大木を切ったところ、根元の空洞の中からこの石仏が発見されました。新聞報道により知れ渡り、当時は「木隠れ石仏」、「オンコの石仏」などと呼ばれ、広く知られることとなりました。
全体形状は砲弾形で、高さ13cm、底部付近で最大幅9cmを測る。横断面は楕円形をなし、長径7cmを測る。石材は安山岩。
人為的な彫刻は正面に集中し、石仏の概形を形成しています。上面・側面に自然面を残し、背面と底面は大きく荒割りされた跡がみられます。正面には尖鋭な工具で彫られた線状痕が明瞭に残ることから、完成品ではない製作途上品を思わせます。頭部・胴部・足部の識別が可能で、頭部には両目が刻まれ、胴部には坐禅を組んだ両足上に両腕が配されています。
北海道開拓記念館と北海道切支丹・砂金史研究会の研究者らが付近の沢や山を調べたところ、金鉱跡を示す石垣や石臼が発見されたことから、江戸時代前期に盛んに活動した砂金掘りのもので、松前藩の迫害から逃れた隠れキリシタンによるものではないかとされました。
しかしその後、道史編集委員でえぞキリシタン研究家による鑑定では、「彫刻技法の点では150年から200年ほど前のもの。隠れキリシタンとは関係なく、石仏にもキリシタンに関連する記号もない」として上記の説が否定されました。初期開拓者が持ち込んだものの可能性が示され、現在に至っています。