鈴木幾太郎翁記念碑
スズキイクタロウオウキネンヒ
金原地区の開拓功労者・鈴木幾太郎の碑
建立:昭和5(1930)年5月
鈴木は明治3(1870)年、静岡県浜名郡長土村の生まれ。かねて北門開拓の志をもっていたところ、金原明善にその人物・力量を見込まれ、この地区の管理運営を任せられた。明治30(1897)年に伊勢・尾張から48戸の入植者を移住させたが、洪水や霜害・虫害などに見舞われ、開拓は困難を極めた。幾多の困苦と窮乏に堪え、一大農場を建設するに至ったのは、鈴木幾太郎の高遠なる理想と資性温厚篤実しかも堅忍不抜の賜であり、地域の発展に寄与した功績は大なるものであった。その功績を讃えるため、金原地区住民により建てられた。
宇宙ノ森羅萬象統テ素因アリ南金原ノ字名亦故金原明善翁ニ私淑セルモノニシテ遂ニソノ姓ニ因縁ス 今ヲ去ル明治三十年三月鈴木幾太郎君ハ金原翁ノ熱誠ナル協賛ト其ノ資ヲ受ケ伊勢尾張ヨリ四十八戸ノ移住ヲ慫慂シ以テ熊羆ノ棲息スル原始林ノ開拓ニ志シ農民ノ努力ト相俟テ拮据経営ト幾多ノ困苦ト窮乏トニ堪ヘ得テ一大農場ヲ建設スルニ至ル 今ヤ戸数百二十戸ヲ算シ土木産業教育ノ施設等悉ク共存同栄ノ範ニ則リ比隣ノ羨望ヲ受クル所タリ是即チ翁ノ高遠ナル理想ト資性温厚篤実ナル鈴木君ノ堅忍不抜ノ賜ニシテ邦家ノ福利ニ寄与スルコト蓋シ甚大ナリ翁没後令孫己三郎君其ノ意思ヲ継承シ鈴木君ト戮力尚ホ今後ノ進展ヲ尽シツツアリ依テ茲ニ之ヲ記念トス 云爾
昭和五年五月
篆額撰文 大戸寧堂先生
改訂今金町史(上巻)