巌谷小波の句碑

イワヤサザナミノクヒ

hako053

■碑文

(表)
其跡や 其の血の色を 草の花
小波

(裏)
巌谷君季雄号小波又号漣山人兒女敬募以小父
呼之大正二年八月函館図書館及千代見園開年
少兒女大會山人亦来焉此日山人遂詣兆域而弔
戊辰烈士之英魂松樹摩天苜蓿蔽地山人追想往
事低徊良久之乃託感懐乎俳句採野花一枝而去
千代見園主寺井君四郎兵衛刻此事于石而傳於
百世若夫當年兒女異日對此碑則復當有感慨無
量不能去者也
嗚呼江山于遏清気此之謂乎
大正四年八月  函館図書館主事 岡田健蔵誌

■解説

安山岩の台石に粘板岩(仙台岩)の碑石が立てられ、巌谷小波の句、裏面には函館図書館主事岡田健蔵の撰による漢文が刻まれている。
1913年(大正2年)、童話界の第一人者巌谷小波(小波山人)が函館を訪れ、函館図書館や寺井四郎兵衛の千代見園で主催された童話会に出席して、それぞれ特意のお伽話を熱演した。会の終了後、岡田健蔵、寺井四郎兵衛両氏の案内で五稜郭を逍遙した際に、小波は、郭内に咲いていた赤クローバーの花を摘んで洋服の襟に挿し、この一句を詠んだという。この碑は、1915年(大正4年)8月、寺井氏が往時を記念して、建立したものである。

■参考文献

「いしぶみ」(函館市役所土木部公園緑地課 1983年)、「五稜郭公園」(公園育成会 1989年)、「函館市史資料集」第27集・第46集(函館市史編纂委員会)、「道南の碑」(永田青雲 幻洋社 1996年)

大エリア 函館市
小エリア 中央部地区
所在地函館市五稜郭町38(五稜郭公園内)
制作時代 大正
主題時代 大正
カテゴリ 碑・像