碧血碑 三重塔
ヘッケツヒ サンジュウノトウ
かつて献納されていた臥牛
■碑文
(表)
奉納 大乗妙典 北海鎮護
昭和十八年十二月八日
小樽弘安海建立
(裏)
曩ニ北海鎮護トシテ 公武両軍戦死者
慰霊ノタメ昭和十年曩 銅製ノ臥牛ヲ
此處ニ安置ス 茲ニ大東亜聖戦勃発ニ
伴ヒ 金属回収ノ国策ニ準シ 昭和十
八年夏奉納セリ 依リテ先志ヲ継ギ三
重寶塔ヲ建立シ永ク供養ヲ行フモノナリ
■解説
かつてここには銅製の牛の像が置かれていた。これは昭和10年(1935)年、箱館戦争の戦死者を悼むとともに、北海の鎮護としての祈りを込めて小樽弘安海が献納したものである。牛の像には人間に労働力や牛乳、肉、皮を提供しくれる牛たちへの供養が表現されている。
付近の子どもたちはこの牛の像の背にのぼって遊び、いつも赤銅色に光っていたという。その後、この銅製の牛は、第2次世界大戦中の1943(昭和18)年、金属供出のために失われため、その代わりにこの三重塔が建てられた。
■参考文献
「いしぶみ」西部編(函館市役所土木部公園緑地課 1982年)、「大火慰霊堂写真帖」(函館市史編さん室旧蔵)